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Cryptic Writings 
Chapter:4

  第2話 現

前回までのあらすじ

  耕一の下に現れた梓。
  楓の影を引きずりながら、耕一は梓に悩まされる。


        ―――――――――――――――――――――――
Chapter 4

主な登場人物

 柏木耕一
  20歳。鬼が完全覚醒してからというもの、それを御する術を手に入れようと必死になっている。
  まだ完全に能力を知らない。

 柏木 梓
  18歳。若干楓に悩まされているため気弱になっている。

        ―――――――――――――――――――――――

 11月22日、土曜日。
 朝は梓の飯を戴くことになった。
 と言ったって、材料は全て自分の冷蔵庫にって…
「…みそやら豆腐やら、うちになかったろ」
 何故か目の前に並んだのは、御飯(炊飯器はないぞ)、豆腐とワカメのみそ汁、鮭の切り身。
 梓はあはは、と笑って鼻の頭をかいた。
「少し、うちから持ってきたんだよ」
 怪しい。
 じとーっと半眼で梓を睨むと、冷や汗を垂らしながら愛想笑いを浮かべている。
「…ま、いいだろう」
 どうせ家出してきたことは分かっている。今更これ以上問いつめたところで大して意味はない。
 昨夜見た時には何も持っていなかったような気がしたが。
――落ち着けば帰るだろう
 今はその話に触れるべきではないだろう。
「いただきまーす」
 それに、いい匂いにつられる方が早かった。
 いつものわびしい食生活とは比べ物にならない。
 食事中はいつもならテレビを付けているのだが、それすら忘れていた。
 自分の分を口に運びながら、耕一は梓の様子を見た。昨日に比べるとずっと顔色がいい。
「梓、落ち着いたか?」
 彼女は顔を上げてにっと笑って言う。
「うん、こっちに来たらあの夢も見なかったし」
 少しだけ不安がよぎった。
 『こっちに来たら』。
 今楓が植物人間に近い状態で、思考や記憶を垂れ流しているのだとすれば、千鶴や初音にまでそれが及ぶ可能性がある。
 耕一の頭の中にそれが浮かんだのだ。
――…生きているのは嬉しいんだけど
 複雑な思いだった。
 

 耕一は午前中に一つ講義を取っていたのだが…
「いいや、どうせ留年だし」
 来年取り直せばいいや。
 思い直して、彼は今日は梓につき合う事にした。
「んじゃ、東京でも案内しようか?」
「え?うん」
 気乗りしないような返事を返しながらも嬉しそうなのが耕一には分かる。
――ま、これだけ余裕があるなら大丈夫だろう
 昨晩はそれどころじゃなかった。
 幽鬼のような力のない彼女は絶対に梓ではなかった。少しでも元気になってくれるのならば、安い物だろう。
 幸い今日はいい天気だ。秋晴れというのだろう、抜けるような澄んだ青い空が目にまぶしい。
 近場を少し案内しながら、電車に乗り、東京へ向かう。
 大学には案内したくない。一応は――外見だけだと、少なくとも耕一は思っている――美少女の梓を、友人に見られたくはない。
 絶対に噂に昇る。
 と言うわけで、耕一は取りあえず山手線を自由に回れる切符を二枚買った。
 周囲の景色は既に秋色一色に染まり、行き交う人々の服装も暖かそうな物ばかり。
 襟を立てた黒いコートに、黄色いカチューシャを巻いた梓もそれなりに似合っている。
 普段活動的なだけに、こういう格好だと妙に女らしく見える。
――うーむ…
 耕一はというと、最近新調した皮ジャンにジーンズというラフな格好。
 無論、買った月は飯抜き1週間だったが。
「そう言えば、東京は初めてになるかな」
 初めての場合どこに行きたいというのは、話にしか聞かない場所を見たい、というのが主になる。
「一度、修学旅行で来たよ。去年の話だから」
 耕一は開きかけた口を閉じて、曖昧に頷く。
「その時いけなかった所、行ってもいいかな」
「そりゃ、いいよ」
 そっちの方が助かる。
 修学旅行は、基本的なコースだったらしい。首都圏を一周して、ディズニーランドを見ての二泊三日。
 関東近辺としては非常に標準的なのだが、このせいで地方県民は千葉県のディズニーランドが東京都内にあるように思うらしい。
「耕一?何だよ、その顔は。変かよぉ」
 そして、梓が選んだのは、新宿東口。
 俗称を『アルタ前』。
「いや、来たことのない奴ならごく普通の反応だよ」
 しかし、耕一の表情は若干笑っていたようだ。
 梓はむくれたような顔をしたまましばらく恥ずかしそうにしていた。
 

 相変わらず人混みでごった返したここは、隆山と比べるにはあまりに人が多すぎる。
「ごみごみしてるね」
 梓は端的な感想を述べた。
 耕一もそう思う。いつ来ても、何時になってもここは人通りが激しい。
「そうだな。特に何があるわけでもないのにな」
 東口からはコマ劇場に向かう通りを歩くと、大抵の娯楽はある。
「ゲーム…は、やらないか」
「うん、知らない」
 元々活動派の彼女の事だ、こういう場所での遊び方も知らないかも知れない。
「何か買い物できる所ないかな」
 え?と耕一は考え込んだ。
 この辺なら駅のビルが一番まともなはずだ。
 思わずあれやこれや変な店を思い浮かべて慌ててその考えをうち消す。
――百貨店があったよな
「言っとくが、俺は金がないからな」
 万が一に備えて釘を差しておく。が、梓は不敵な笑みを浮かべる。
「ばーか、そんなこと百も承知だよ」
 そのまま横から首に腕を回して耕一のこめかみを拳でぐりぐりする。
「貧乏学生の、癖にっ下手な気をまわすんじゃ、ねーっての」
「こらっ、やめろっ」
 けらけら笑う梓をふりほどいてむすっとする耕一。
 梓は笑うのを止めずに耕一を見ている。
「…なんだよ」
「いや。そんなこと気にするなんて思わなかったから」
「…悪いか?」
「怒った?そんなに怖い顔しなくてもいいじゃないか。それより早くいこーよ」
 妙に嬉しそうな梓は物をねだる子供のような目で言った。

 百貨店。
 女性服飾雑貨。
 珍しくはしゃぐ梓に引きずられるように見て回る。
「こんなの似合うかな…」
 おい、似合ったとしても買えねーって。桁が二つぐらい違うぞ。
「次、次!」
「あー、店員さーん!」
 頼むから大声で呼ぶのやめれって。
「なんだ耕一、へばったのか?」
「こーいうの似合うだろ?」
「耕一だったらどういうのが良いと思う?」
 ううむ。
 あちこち引きずられながら耕一は頭をかいた。
 梓も一応は女の子ってことだ。
 何となく安心している自分に気づいて、耕一は苦笑した。
――しかしこれで少しは気が晴れるだろう
「おーい、こーいちー!」
 だから大声で呼ぶのはやめれっていうのに…

「何だよ。男の癖にあっさりへばりやがって」
 注文したコーヒーが来る間に早速梓が愚痴る。
――誰のせいだと思っている誰の…
 珈琲屋で休憩を取ることにした耕一は、無理矢理梓を引っ張ってここへ来た。
 耕一は気分的に最早最低である。
「五月蠅い。全く、恥ずかしいったらねーよ」
 びっ、と人差し指を彼女の鼻先に突きつける。
「梓!」
 梓は身体を仰け反らせるようにしてそれから逃れる。
「な…なんだよ」
「あれじゃ田舎者丸出しだぞ」
 ここでは屋外にテーブルを並べていて、ちょっとしたテラスのような雰囲気がある。
 少しぐらい大きな声を出してもあまり目立たないという事だ。
 梓の頬がかあっと赤くなる。
 できる限り調子を抑えるようにして、彼は続ける。
「頼むから大声で呼ぶのだけはやめてくれ」
 何か言いたげな顔で口をむぐむぐさせているが、やがて彼女はそのままこくんと頷いた。
 やがてコーヒーが届く。梓は紅茶を頼んだのだが。
「耕一、次日暮里あたりに行こうよ。あの辺でスポーツ用品売ってる店があるだろ?」
「…どうでも良いが…詳しいな、お前」
「いいからいいから」
 結局そのまま夕方まで完全に主導権を取られたまま、買い物を続けた。
 日が暮れそうな時間になって、上野の周辺にある公園についた。
 お金がなかった訳ではないが、結局何も買わなかったので、手ぶらで歩きながら大きく深呼吸する。
「都心のすぐそこって所にも、こういう場所があるんだ」
 梓の言葉に、耕一は僅かに笑う。
「多分逆だと、俺は思うけどな」
 耕一は都会の真ん中にあるこの緑を、どうしても隆山の田舎の風景に重ね合わせて比べてしまう。
 どうしても『自然』に感じられないこの一角と、雄大な自然を思わせる『雨月山』とを。
「え?」
 梓は不思議そうな顔で彼を見返した。
「人も物も集中した、いわばごみごみした所だろ?隆山と比べて」
 耕一は、何故かこの緑も灰色のコンクリートと冷たい金属の臭いが染みついた幻影の様に思えた。
「多分人間ってのはそんなものだけで生きていけない事を知ってるんだよ」
 だから逆に都会にはこんな緑があるはずなのだ。
 他の地方都市には、大きな公園も必要ない。ほんの少し脚を伸ばせば、そこに緑はあるのだ。
 耕一の言葉に僅かに微笑みを返して、梓は再び木々に眼を移した。
「…そうかも知れない」
 さあっと風がふき、木々がざわめいた。 
 夕暮れの景色の中、僅かに梓の髪がなびき、彼女の表情に陰りがさす。
――!
 一瞬、ほんの一瞬その横顔が、楓と重なる。
 いや、その姿は楓ではなくその前世――エディフェルの姿だ。
――まさか…
 梓と楓、初音と千鶴の顔がよく似ているのは、恐らくそれぞれ父親、母親譲りの物だろう。
 姉妹、それも梓と楓の顔立ちは千鶴や初音より良く似ている。
 きつめの吊り目が、恐らく重なるだけなのだとしても、今の彼には、間違いなくそう映った。
「耕一」
 何の気なしに気軽にかけられた声。
 耕一はふと顔を上げるようにして彼女を見る。
「あたしさ、このままこっちに住んでもいいかな」
 梓は顔を背けたままいう。
 まるで二人の間を走るように風が吹く。
 黒い色をした風の向こうで、一瞬梓がこちらを見る。
「なんだよ、冗談なのに」
 大きくため息をついて振り向いた。
 その間、耕一は何も言えなかった。
 もし冗談だと言って振り返ってくれなかったら。
――本当に冗談なのかよ、梓…
 軽く殴られながら曖昧に受け答えしながら彼は梓を見つめた。
 

「…そう…なんですか…」
 千鶴は急に力が抜けたように両肩を落とした。
「ええ、恐らく」

 病院。
 隆山でも有数の病院で、その治療施設は恐らく日本で指折りのものだ。
 だが病院の施設がどれだけ良くても、同じ事。
「まだ脳波に変化は見られるんですが」
 永遠の昏睡に引き込まれたまま、楓は目覚めようとしない。
「多分、回復の見込みはありません」
 医師は診断した。
 絶望と言う名の病名を。
 千鶴はいつものように礼を言って、立ち上がった。
 病室を後にして、ざわざわと心の中でざわめく物に胸の前の上着を握りしめる。
 回復しないと告げられた瞬間には逆に肩の荷が下りた気がした。
 大事な妹だというのに。
 だが、この『不安』は?
 彼女の部屋を出た途端に感じたこの言いしれぬ不安は?

「お帰りなさい」
 結局家事のできない千鶴の代わりに初音が食事を作っている。
「只今」
 この娘が最後の妹になるのかしら。
 そんな、嫌な思いが沸き上がって、慌ててそれをうち消した。
――しっかりしなきゃ
 初音の頭を撫でて、彼女は家に上がった。
 

「いっただっきまーす」
 珍しく下宿に響く元気な声。
「…いただきます」
 代わりに対称的なのが耕一の声。
 見れば耕一の顔が若干歪んでいるようにも見える。
「なんだ耕一、元気ないぞ!病人かよお前は」
 誰のせいだと思っている。
 だが口にはしなかった。
 スーパーから帰って来る際に二発。下宿で四発。
 合計七発(帰り際鳩尾に一発)ばかばか殴られれば、そりゃ病人にもなるわ。
 等の本人はにこにこしながら食事をしている。
――軽度の躁鬱病だな、これは
 下手な事は言わないことにしよう。
 これ以上殴られれば、ただでさえ良くない頭が悪化してしまう。
 

 食事も終わり、後かたづけを梓がやっているうちに、耕一はテレビを付けた。
 無機質で無意味な番組が流れている。
『○○教の教団本部から、今日大量の麻薬が押収されました』
 

  るるるるる  るるるるる がちゃ

「はい柏木です」
『耕一さんですか』
 気がついたら電話を手にしていた。
 そんなつもりはなかったのに。
 千鶴は電話の向こうにいる耕一の姿が見えるようだった。
「あの、楓の事でちょっと」
『梓、じゃなくてですか?』
 彼の側に梓がいないのだろうか。それ程憚る風でもなく彼は応えた。
「ええ。今日、楓の回復はまず無理だと」
『…楓ちゃんが』
 ああ。
 やっぱり。
 白くなるほど受話器を握る手に力を込める。
「それで相談したくて」

 名前を呼ばれたような気がして、ひょいっと台所から顔を見せる梓。
 梓からは耕一の背しか見えない。
――電話か…
 と思ってから自分の事かと耳を澄ませる。
「はい…ええ、でも千鶴さん」
 梓は慌てて顔を引っこめると、洗い物を続ける。
 耕一の真剣な声だけがまるで耳元で囁かれているように続く。
――あたしの事?
 テレビの音が邪魔だ。
 それを無視して彼ではなく受話器の方に意識を集中する。
『楓を引き取るか、このまま治療を受けるかって、お医者さんは言われたんです』
 その内容が何を指しているか、彼女は十分良く知っている。
 それが妙な不安になって彼女に覆い被さるように感じられた。
「…もう少しよく考えた方がいいけど。…又電話するよ。…うん、急いで結論を出さなくていいんだったら」
 耕一が電話を置くのを見て、梓は声をかけた。
「電話?」
「んん、ああ。千鶴さんから」
 梓は躊躇する様な表情を浮かべて、じっと耕一を見つめる。
 耕一はそれに気がついたように顔を上げたが、その時には既に普段の表情に戻っていた。
「…何の、話?」
 答えは分かっている。それでも梓は聞いた。
「安心しろよ、お前の事じゃない」
 そんなことが聞きたくて言ってるわけじゃない。
 でも、梓は小さく苦笑する。
「良かった。それで何の話なんだよ」

「それで、又隆山に帰るのか?」
 耕一は違和感を感じながら先刻の話を繰り返していた。
 楓ちゃんの回復見込みがなく、結局今の状態のままひきとるか、無駄に治療を続けるのか。
 ある意味では死の宣告だ。
 耕一はむっと眉を寄せる。
 自分の妹の死の報告に、何故平気な顔をしているんだ。
「梓、お前、薄情だな」
 無意識に言葉が零れた。
 その直後、梓が顔を強ばらせたのが分かった。
「え?」
「以外に動揺してないじゃないか」
 しばらく梓は言葉を探すように目を彷徨わせている。
「…ううん、そうじゃないよ…」
 耕一は彼女をじっと見つめて答えを待つ。
 しばらくの沈黙。
「きっと、多分…予想していたからだと思う。
 楓が刺された時、死んだと思った。でも生きてて良かったと思った。
 でも、…でも楓は目を醒まさなかった。もう二度と目を醒まさないかも知れない」
 梓はそこまで一気に言い切った。
 そして、大きく息をつく。
「耕一」
 耕一の背に電話があり、それ以上下がることはできない。
「…あたしじゃ、だめなのかな」
「え」
 耕一は絶句する。
 何と応えていいのか、まるで心臓を鷲掴みにされたように縮み上がった。
 梓は若干苦笑いをするように微笑んでいる。
「…笑わないで欲しいんだけどさ。…まだ言ってないこともあるんだよね」
 もう一歩でも踏み込めば、体が触れるほどの距離。
 心臓がばくばく言っている。
 取りあえず耕一は彼女の肩を叩いた。
「座れよ。長くなりそうだから」
 ちゃぶ台の側を指さすと、梓はこくんと頷いて座った。
 向かいに座りながら耕一は一息ついた。
「…いいよ。言って見ろよ」
「うん」
 彼女は少し伏せ眼気味にして、両手を組んでちゃぶ台の上に乗せる。
「夢、だと思うんだけど」
 ぽつり、ぽつりと言葉を継ぐようにして言う。
 まるで言葉を探しているというか、戸惑っているかの様に。
「楓と…病院で話したんだ。夢の中に楓が出てきたのかもしれない」

 奇妙な現実感の中で、彼女は頭を上げた。
 見たことがあるような場所。
 どこにでもあるような、ありふれた山の中。
 そこは河原だった。
――…ああ、あの水門の側だ
 何の疑いもなく彼女はそこにいた。
 夜なのか、昼なのかよく分からない。暗いようにも思えるのに、物がよく見える。
――風の匂いまで感じる

  じゃり

 足音に、ゆっくりと振り向いた。
 そこに、楓がいた。
「楓」
 ああ、夢なのだ。
 彼女はすぐ側にいる彼女を見てそう思った。
 だって、楓は意識不明で倒れて入院しているのに。
「姉さん」
 楓はいつものように声を掛けてきた。
 そう、もうこの声も忘れてしまっているとばかり思っていた。
 久しぶりに聞いた声に思わず涙ぐみそうになる。
「お願いが、あります」
「何?」
 夢でも良い。
 梓はすぐに聞き返した。
――夢でも、何かできることがあるのなら
 もう取り返すことのできない、あの一瞬のために。
「…私を、耕一さんの所へ連れていって下さい」
 梓の表情が変わる。
 急に怯えた表情を浮かべて、一歩下がる。
「楓、あたしはっ…」
「姉さん、違うの、私は姉さんを責めたくてこうして話をしているんじゃないの」
 いいながら両腕を大きく広げる。
「…でも、多分この話を聞けば、もしかすると傷つくかも知れない」
 そして、彼女は視線を落とした。
 梓は締め付けられるような気分に、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「耕一…耕一は、楓を選んだんだ」
 楓の目が梓の両目を射抜く。
 黒くて艶のある美しい瞳。澄んだ瞳。
 でも、もうこの目も、二度と開かれることはないのだろう。
 楓はゆっくり頷く。
「でも私は、もう助からないでしょう」
「何を言って…」
「身体が起きないんです。どうやっても、目が覚めないんです。私は…」
 楓はそこで一度息をつくようにして言葉を区切った。
「ただ姉さんの側で耕一さんを見ているしかなかった」

 次回予告

  「その…耕一は、どう思う?」
  傷ついた楓は、『夢』として梓の前に現れた。
  楓が梓に託した言葉。
  しかし、耕一は戸惑いを隠せない。  

  Cryptic Writings Chapter 4:Sweet Child o'mine 第3話『幻』

   じゃぁ、…お前は楓ちゃんの代わりでいいのか?

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