戻る

第七聖典のひみつ


前回までのあらすじ:
  ロアと対決するため、第七聖典を持ち出したシエル。
  そして、とうとうロアをねぐらへと追いつめることに成功した!


「ロア!覚悟しなさい!」
 完全武装のシエル。
 肩を露わにした服装は、しかしそれよりも全身に刻んだ異様な隈取りを印象づける。
 とても片手で持てそうにないほど巨大な砲、いや、『砲典』第七聖典。
 基督教が作り上げたという転生を否定する教典。
「この第七聖典さえあれば、いかに貴方が無限転生者であるとはいえ、再生は敵わない!」
 兇悪な音を立てて第一射目が装填される。
 ボルトが回り、反動式自動装填砲は兇悪な鼻面をロアの真正面に向けた。
 いつでも咆哮できる位置。
 ロアはさすがにうろたえて一歩下がる。
 その表情と姿格好は、畏れ戦く月島先輩を想像して貰いたい。
「く、教会の犬めが!そんなもので私が倒せるモノか!」
 ふふん、と強がるロアを鼻で笑うシエル。
「それが倒せるんです。何故か貴方の弱点は知り尽くしてますから」
 くすくす。
 何を思ったのかシエルは引き金を落とさずに聖典を開いた。
 中には核となった角が入っている。
 それを――
「えいっ」
 なげた。

  ぽうん

 地面に当たって煙が出る!
「ぬをっ」
 怯むロア。
 煙が晴れて、その中から何かが姿を現す。
 背丈は丁度小学生ぐらい。
 半眼を閉じた感じの女の子――ディフォルメしてないので、大きな人形のようにも見える。
「転生、かっこわるい」

  ずびし!

 突如右手を光の早さで突き出すと、彼女は叫んだ。
「転生、かっこわるい」
「あ、う…」
「転生、かっこわるい」
「転生、かっこわるい」
「転生、かっこわるい」
「転生、かっこわるい」

  ど だん

 壊れたテープレコーダーのように叫びながら近づく彼女に気圧されて、気がつくと壁を背にしていた。
「う、う、う」
「転生、かっこわるい」

   くすり

  彼女の口元が、笑みに歪む。
「うわあああっっ、オレが悪かったぁっっ、もう転生しない、転生しないから赦してくれぇ」

 こうして無限転生者ロアはいなくなった。
 明日も死徒との戦いが残されている。
 頑張れ!教会の犬シエル!
 闘え!第七聖典ななこちゃん!
 


次回予告!
  味方の顔をした最強の敵ナルバレックが、ついに襲いかかる!
 「そうだシエル、餅をやろう」
  嫌な先輩、メレム=ソロモンは冠を磨く!
 「仕事?…五月蠅い、シエルにでもやらせておけ」
  次回『最悪の職場!』に、セブン・トリガー!
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
言い訳:
 いや別にね、シエルが好きな訳ではないですが、妙に書きやすいのでネタにさせてもらってます。
 真面目な(というか殺伐とした)文章が得意そうな奈須サマですが、ぶっ壊れた感じのギャグが好きそうな気がするのは自分だけ?
 某特撮モノのノリで読んでいただけたら幸いです。
 

 



top index