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或る晴れた日の朝の出来事。


「おはようございます、兄さん」
 高校二年の秋に、俺は還ってきた。
「ああ、おはよう秋葉」
 時計を見れば、丁度午前七時半。
 ああ、だからだろう。秋葉が妙に優しい顔をしている。

 …色々あったせいで、秋葉も変わってしまった。
 あれから一年が過ぎて、ようやく琥珀のいない生活に慣れてきたというのに。

「お茶飲みますか?」
 怖い。
 前はそうやってにっこり笑う事なんかなかったのに。
「あ…いや、学校に遅れるから」

  むんず

 …怒ってる。
 怒ってるよそれももう手の施しようがないぐらいっっ!
「ミルクは入れますか?砂糖は?レモンを切ってたっぷりカップに入れる準備はOK?」
「頼むから助けてくれ〜!」

 俺の叫び声は、誰も聞いてくれなかった。



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