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日常の風景

「よぉ」
「あ。ああ、こんなところで仕事をしていたのか、お前」
「まーな」
「真面目に稼げって言っているのに」
「なんだ?真面目じゃないってか?なんだ、真っ昼間からこんなところうろうろしているくせに」
「…今日はちょっと事情があって、昼食なんだが…仕方なく」
「ふーん。ま、ちゃんとしたところで働いている人は違うんですねぇ」
「僻むのは勝手だが、ちゃんと働いて稼いでいるのか?」
「五月蠅い。久々に会ったと思ったら説教かよ。良い身分だよな」
「ふふふ。…まぁ、お似合いの職業かも知れないな。誰にも迷惑をかけないと考えれば」
「ちぇ。昼飯を食いに来たんだろ?さっさと行けよ。全く」
「一緒にどうだ?どうせ食べるんだろう?」
「…」
「な、なんだその目は。お…判った、判った。金なら貸してやるから。全く、本当に働いているのか?」

「良い店だな」
「ああ、バイト先の奴と一緒に良く来る。…お前があまり食べていないみたいだからな」
「へっへー。でも本当に高そうな店だな」
「いや、ここは安くて美味い。言っておくが貸しだからな。返せよ」
「…けちだな」
「何を言っている、きちんと働いてきちんと稼げばできる当たり前の事ができていないだけだろう」
「ふふーんだ。あ、ねーちゃん、日替わりランチはこっちだよー」
「…」
「ふふふふ、うまそーっ」
「なぁ。…この間は大変だったな」
「まぁね。…むぐむぐ」
「ふふん…まぁ、別にそれはいいんだ」
「むぐ?…むぐむぐ…そうだな」
「なんかこうやって、何でもない日常を生活しているとそれでも良いような気がするんだ」
「……むぐ…むぐむぐ」
「もし…もし順調にお金が貯まったとして、以前のようになると思うか?」
「そりゃ…それが目的じゃねーか。ルミラ様のデュラル家再興は悲願なんだろ?」
「いかに魔界の貴族とはいえ、そんな前の話はもう良いような気がするんだ」
「お前」
「イビル。私はお前と違って真面目に働いているが、目的がすり替わっていくような気がするんだ」
「…一言よけいだ」
「こうして平和な生活をしていると、それだけで良いような気がして」
「なぁ、もしかして魔界に帰りたくねーのか?」
「ないと言えば嘘になる。が、今のままでも十分だと言っているんだ」
「ふーん。…ま、あの頃もよかったが結局どこでも同じだからな、俺ら下っ端は」
「仕事してお金をもらって、生活費稼いで僅かでも貯金して。ぬるま湯っていうんだろう?」
「エビルらしくねー。あんまりがつがつしたタイプじゃ、なかったけどさ」
「ははは。でも、今ならルミラ様の気持ちが分かる気もする」
「フン、お前、誰か人間でも好きになったんじゃねーのか?全く…」

「言っておくが奢りじゃないからな。ちゃんと働いて返すんだぞ」
「なっ、くそっ、やっぱ魔界に帰りてぇ!」


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