「そういえば、はるかは音楽聞くのか?」
「時々」
「そうだよな、どっちかっていうと似合わないよな」
「良く聞くのかって聞かれる」
「…んで、どっちなんだよ」
「ん、良く聞く方」
「俺はあんまり聞かないんだ。せいぜい日本のポップスぐらいだけどさ」
「冬弥は、洋楽とか聞かない?」
「うん、英語が分からないから」
「やーいばーかばーか」
「…はるか。お前、判るのか?」
「ううん、全然」
「お前ねぇ」
「でもカノンとか良く聞いてるよ」
「それは洋楽ぢゃねぇええええっ」
「ばーばりあん、ばーばりあんとか」
「それはバーバラ・アンだ!全っ然、聞いているうちに入らないじゃないか!」
「そこはそれ、ご愛敬」
「お前がいうなぁ!」
「…なんか先刻から冬弥、怒りっぱなし」
「誰のせいだと思っている誰の。…はぁ、お前に音楽の話を振ったのが間違いだったよ」
「当たり前じゃん」
「…つ、疲れた…」
「んで冬弥は?」
「何が」
「ん、音楽」
「…まだ続けるの?」
「ん」
「ちょ、ちょっと…な、なんだよその目はぁ」
「・・・」
「こらっ、はなせ、止めろ何をする」
「ふーんふんふんふーん。だって逃げたら困るじゃない」
「こ、こらやめろって」
「ね、こんな話聞いたことある?心臓のリズムに合わせたのが8ビートだって」
「それがどうかしたのかよ」
「それが、気がつかない程のリズムでだんだん遅くなっていくの。すると、心臓もそれに合わせて…」
「こらっ、どうして今そんな話をっ、な、なんだそのヘッドホンは!」
「じゃ、スイッチ入れるね」
「や、やめ、ごめん、ごめんなさいはるかさんっわ、わわわわっっっっ…」
「…どうだった?」
「うう…は、はるか、凄い趣味をしてるな、ドナドナとかさだまさしとか」
「はるかの『和風黒魔女』MIXだよ。他にも『思わず死にたくなる』MIXとか、叫び声を入れたりしてるし」
「うわぁっ、勘弁してくれっっっ」