「柳川さん」
貴之はいつものように、笑みを浮かべて言った。
「俺、犬を飼ってみたいんですよ」
なに?
お前も狩猟者か?
柳川は貴之の肩をぽんぽんと叩いて、
「嫌なことがあったのか?犬にいじめられたのか?」
「え、いや…違うっスよ?どうかしたんすか?」
あ、
ああ、狩ってみたいんじゃないのか。
「いや、気にするな」
次の日。職場で長瀬警部が言った。
「柳川、お前、今度頭刈ってこい」
何?
お前、俺が狩猟者だって事を何時から気づいていた?
…次の獲物はこいつか…
「お、おい、何を睨んでいるんだ。お前の髪の毛はいくら何でも長すぎるだろう?鬱陶しいから切ってこい」
あ、
なんだそうか。
髪を刈ってくればいいのか。
「は、はい。分かりました」
とある、休日。つり場にて。
「餌が切れたな。柳川、ちょっくら餌買ってきてくれ」
「…ああ…」
その時の柳川の目は鋭く冷たかった。