始まりは、この一言だった。
「速水のこと、どう思う?」
遠坂圭吾は最近よく出しゃばる彼について、よく思っていないらしい。
まぁ、あのぽややんとした風貌で銀剣突撃勲章あたりをいくつも持ってりゃ、彼はよく思わないだろう。
「…ライバル、かな?」
とか平気な顔をしていうのは茜 大介。
最近義姉に近づくあの野郎はよく思っていない。
それだけではない。
何故わざわざ半ズボンで登校しているのか。
何故わざわざ半ズボンを主張しているのか。
それもこれも、速水がいるからである。
でも最近お株奪われっぱなし。
そりゃ、くやしいさ。
「坊やは大事な人さ♪」
まて瀬戸口。
思いっきりみんな引いたぢゃないか!
「み、見損なったぞ!」
とは若宮。
「あの少年には時々理解できないところがあるが、まさか」
このあいだ悪い遊びにも誘ったというのに。
「…何でそんなに邪険にするんだい」
「邪険にもするさ。彼奴は邪魔だ」
茜が何故か息巻いている。
ああ、多分舞と仲がいいのも問題なんだろう。
「彼奴さえ居なければ、5121小隊の美少年とはこの僕できまりじゃないか」
「でもキミは…」
瀬戸口は右手を顎に当てて、じろじろと茜を見る。
「何だよ」
「可愛くはないな」
「別に好かれても困る」
「その点坊やはいいぞ、うん」
ずぞざざざざざっっっっ
そこにいた全員がさらに引いた。
「おいおい」
「こ、これ以上奴の肩を持つなら、考えがあるぞ」
遠坂は声を震わせながら言う。
「んー、どうした遠坂戦士。何かできるものならやってみてくれないか?」
「ち、畜生…」
遠坂、発言力少なし。
敵に非ずと見た瀬戸口、攻勢に出る。
「この世の半分と+1だけは僕の味方さ。君達では敵いっこない」
ぷらすいちとは、無論速水君のことである。
酷い話だ。
「ぬぬぬぬぬ…」
若宮、考える。
遠坂、逃げ腰になる。
茜、きらりと目を光らせる。
「…」
二人に目配せをして、彼はぽんぽんと自分の身体を払う。
「速水のことは取りあえずおいておいて」
にやりと笑みを浮かべて、瀬戸口を見る茜。
「ん?」
「我らの共通の敵は、まずはお前だっっっっ!」
「くたばれ人類の敵!」
「そんなに坊やのことを嫉妬するのかい?」
次の日、悪い噂が流れてぽややんの発言力はごっそりと持っていかれたという。
「なんで〜(T T)」