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ぽややん速水君 第4話 最終兵器


 5121小隊発足当初から、僅かに数日が過ぎた日の昼過ぎ。
「うわぁぁぁん、舞ぃぃ」
 丁度飯でもと階段を下りようとしていた舞に、聞きたくない声が聞こえた。
「不気味な声で叫ぶな、この馬鹿者」
 泣く子をぐーで殴るものだから、さらにぐすぐす泣くのはまぁ仕方がない。
 御陰で泣きやむまで殴られるわけだが。
「判った判った。…それで、どうしたんだ」
「舞、僕ってそんなにしつこい?」
 ?
 舞はあからさまに顔をしかめた。
 まぁ彼女が不機嫌なのはいつものことだ。
 別に変わったことではない。
「何が言いたいのだ」
「舞から見て、僕ってしつこい?」
 むむう。
 思わず唸る。
 今ここで、この泣き顔のこいつを見ているのはいやだ。
 何がいやなのか、それをちょっとりかいできないが。
 でもともかく、しつこく食い下がられるのはいやだ。
「しつこくないぞ」
 我ながら矛盾しているな、と思いながら答える舞。
 その途端、単純に彼は顔を明るくする。
「ほんと?そう?よかったぁ」
 彼が去っていくのをため息を付いて見守っていた。

 次の日。
 丁度登校してくるぽややんを見つけて、舞は彼に視線を向けた。
 見てると、彼は頭に布らしきものを巻き付けた女の子に近づいていく。
――?あれは確か、森とか言う名の
 嬉しそうに挨拶すると、森はくるっと振り向いて、挨拶を返した。
 そこで思わず空いた沈黙に、森は言う。
「何間抜けな顔してるんですか。…早く教室に行きますよ」

  がーん

 間抜けな顔で悪かったな!どーせ僕はぽややんだよっ
 とは口に出せず、プレハブ二階で舞とあったものの…
 今度は泣きつけなかった。
 舞は拳をふるふると振るわせて、今にも襲いかかりそうな雰囲気だった。

 次の日、森は学校を休んでしまった。
 しばらくの間、ぽややんは舞の剣幕に近寄ることもできなかったという。


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